CoreWeaveが、NVIDIAのサーバー向けCPU「Vera」をAIエージェントの実行基盤としてクラウドに追加する計画を発表しました。エージェントが使う隔離環境やコード実行をCPUで大量に動かす構成です。1ラックの構成と起動時間の試験結果から、新しい取り組みの内容を整理します。

CoreWeaveが発表したVera CPUの提供計画

CoreWeaveは2026年9月30日、NVIDIA Vera CPUを同社のクラウド基盤へ追加すると発表しました。GPUを中心に構築してきたAIクラウドに、CPU単体の処理能力を選べる構成を加える計画です。同社はVeraをベアメタルで運用し、既存のクラウド管理基盤や料金モデルの下で提供すると説明しています。

今回の発表で想定しているのは、AIエージェントがツールを呼び出したり、生成したコードを実行したりする場面です。モデルの学習や推論にはGPUが使われても、その前後で動くデータ処理や検証環境にはCPUの処理能力が要ります。強化学習では試行ごとに隔離した環境を多数起動するため、CPUの台数に加えて起動の速さも処理全体の進み方に関わります。

CoreWeaveの製品ページでは、AMD EPYC 9005とIntel XeonのCPU基盤は「Available」、Veraは「Coming soon」と表示されています。10月4日時点でVeraの顧客向け提供開始日や料金は示されていません。

1ラック128基・11,264コアの構成

CoreWeaveが示したラックには、Vera CPUを128基、合計11,264コア搭載します。CoreWeaveは、1環境に1コアを割り当てる条件で「1万1,000を超える環境」を同時に動かせる規模だと説明しています。同社の製品ページには、Spatial Multithreadingによる22,528仮想CPUという構成値も記載されています。

項目 CoreWeaveが示した構成
Vera CPU 128基/ラック
物理CPUコア 11,264コア/ラック
仮想CPU 22,528 vCPU/ラック
1コアずつ割り当てた実行環境 1万1,000超
ネットワークと分離 BlueField-4 DPU、Spectrum-X Ethernet

NVIDIAの公式仕様では、Veraは独自設計のOlympusコアを88基備え、Spatial Multithreadingによって176スレッドを扱います。LPDDR5Xメモリ帯域は最大1.2TB/sです。CPU側で多くの実行環境を並列処理し、メモリへのアクセスが集中する仕事にも対応する設計になっています。CoreWeaveの構成では、BlueField-4 DPUとSpectrum-X Ethernetを組み合わせ、ノード間の通信と環境の分離を支えます。

サンドボックス起動「3倍超」の意味

CoreWeaveは、自社の試験でVera上のエージェント用サンドボックスがx86 CPU上より3倍超速く起動したと発表しました。サンドボックスは、エージェントがコードを実行するたびに用意する隔離環境です。起動待ちが短くなれば、多数の試行を繰り返す強化学習や評価の待ち時間を減らせます。

「3倍超」は、CoreWeaveが測ったサンドボックスの起動速度の値です。発表資料には比較相手のx86 CPU型番、試験条件、起動時間の絶対値は記されていません。処理全体の所要時間を評価するには、環境の起動後に実行するコードや評価処理の時間も必要です。

NVIDIAも同日の解説で、128基・11,264コアの構成と起動試験に言及しています。Vera Rubin NVL72システムはすでに顧客の本番処理に使われています。今回のVera CPU単独のクラウド提供は、今後の追加予定として案内されています。

GPU中心のAI基盤に加わるCPUの役割

VeraをCPU単独の計算資源として使うと、GPUがモデルの計算を進める間に、別のCPU群でツール呼び出し、コード実行、評価、データ準備を処理できます。CoreWeaveは、これらの処理を「CoreWeave Sandboxes」から利用し、学習ジョブの近くに置く構成を描いています。必要な時だけ大量の環境を起動する仕事に、ラック単位の高いコア密度を生かす考えです。

NVIDIAの発表によると、CoreWeave Sandboxes自体は一般提供を始めています。CPUまたはGPUを使う隔離環境を、サーバーレスの形でも既存の学習基盤の上でも起動できます。Vera CPUが追加されれば、同じ環境管理の仕組みからArm系CPUの計算資源も選べるようになります。

Vera自体の仕様を詳しく知りたい方は、88コアとメモリ帯域を解説した記事もご覧ください。

まとめ

CoreWeaveはNVIDIA Veraを使い、AIエージェントのコード実行や強化学習向けにCPUのクラウド基盤を拡張します。発表された構成は1ラック128基・11,264コアで、サンドボックス起動は同社試験でx86 CPU比3倍超でした。単独Veraサービスの提供開始日と料金はまだ公開されていません。提供開始後は、起動時間だけでなく、実際のジョブ全体にかかる時間と利用料金が評価の焦点になります。