AMD Ryzen 5 7600の消費電力を調べると「65W」「約90W」「96.2W」など違う数字が出てきます。測定対象を分けると、それぞれの意味が見えてきます。65WはAMDが示すTDP、約90Wは特定のCPU負荷中に測られたパッケージ電力、96.2Wは別のテスト機がアイドル時にコンセント側で消費したシステム全体の最小値です。使う場面と測定範囲を分けると、自分のPCの電力を見積もりやすくなります。

65W TDPと実測電力

AMDの7600公式仕様は、TDPを65W、最大ブーストを5.1GHzと記載します。TDPはCPUの製品仕様を比較する指標です。デスクトップPCにはCPUのほか、マザーボード、メモリ、SSD、ケースファン、グラフィックボード、電源ユニットがあります。コンセント側の電力には、これらの部品と電源ユニットの損失が加わります。

TechSpotのRyzen 5 7600レビューでは、Cinebench R23の全コア負荷時に、7600のパッケージ電力が約90W、全コアクロックが約4,920MHz、温度が78℃でした。PBOを有効にした測定では約102W、約4,995MHz、83℃に変わりました。TechSpotは液冷クーラーを使ったテストです。約90Wと約102WはCPUパッケージで測った値です。PC全体の値は別に測定します。

数値 何を表すか 条件
65W AMD公称のTDP 製品仕様
約90W TechSpotのCPUパッケージ電力 Cinebench R23、標準設定
約102W TechSpotのCPUパッケージ電力 同条件、PBO有効
96.2W PC Watchのシステム全体の最小値 別のテスト機、アイドル時

アイドル時のシステム実測

PC Watchの65W版Ryzen検証は、ワットチェッカーでシステム電力を測定しました。Ryzen 5 7600構成のアイドル時の最小値は96.2Wです。96.2Wには試験機のマザーボードやRadeon RX 7900 XTXなどの待機電力も含まれます。小型PCや別のGPUを使う構成では、搭載部品に応じてアイドル値が変わります。

同じ記事は、65W版RyzenのCPUベンチマーク中の平均システム消費電力を180W以上200W未満の範囲と記載します。このレンジには7600のほかに7700と7900の測定結果も含まれます。アイドル時の96.2Wと比較する際は、どちらもPC Watchのコンセント側測定であることを保ちます。TechSpotの約90Wは別の試験機によるCPUパッケージの値なので、PC Watchの値と足し算せず、同一試験内で比較します。

ゲーム中の電力

ゲーム中はCPUとGPUの負荷が同時に動きます。画質を上げてグラフィックボードを強く使う場面では、PC全体の電力はCPUベンチマークの値とは別の形になります。たとえばNVIDIAのRTX 5060 Ti仕様にある180WはGPU単体の総電力です。電源ユニットの容量は、CPUとGPUが同時に負荷を受ける実測や、NVIDIAが示す600Wのシステム電力目安を基に選びます。

電気代の計算例

アイドル時の96.2Wを1日8時間、30日間ずっと保つと仮定すれば、計算上は「0.0962kW × 8時間 × 30日 = 約23.1kWh」です。この23.1kWhに契約中の1kWh当たり単価を掛けると、同じ条件で動かした場合の電気代を計算できます。自分のPCではコンセントで測った平均電力と実際の利用時間を使います。スリープや電源オフの時間を含めると結果も変わります。

測定機の構成と自分のPC

PC Watchの試験機はRadeon RX 7900 XTXを搭載しています。アイドル時の96.2Wにも、このグラフィックボードを含むシステム構成が反映されています。7600の内蔵GPUだけで画面を出すPCと、外部GPUやSSDを多数積むPCでは、待機中に動く部品が異なります。各構成のコンセント側電力を測ると、自分の利用条件に合う値が得られます。

自分の構成を把握するなら、コンセント側で待機時とよく使う処理中の電力をそれぞれ測ると、PC全体の値が得られます。CPU監視ソフトが示すパッケージ電力は、CPU設定の比較には便利ですが、電源ユニットの損失や周辺部品を含みません。PC Watchのワットチェッカー値とTechSpotのパッケージ値を同列に並べず、目的に合う測定箇所を使い分けます。

まとめ

7600の65W TDP、Cinebench中の約90W、アイドル時のシステム96.2Wは測定対象が違います。PBOを有効にしたTechSpotの測定ではCPUパッケージ電力が約102Wへ増えました。電源容量や電気代を考える際は、PC全体を同じ方法で測った値を使うと数字の意味が揃います。調整でどれほど増えるかはPBOとCurve Optimizerの記事でも説明しています。