Ryzenはメモリで性能が変わるCPUとして知られますが、3D V-Cacheを積む5700X3Dは少し事情が異なります。Ryzen 7 5700X3Dは96MBという大容量キャッシュのおかげで、メモリ速度への依存が通常のZen 3より緩やかです。本記事では対応メモリの基本から、スイートスポットとなる速度、キャッシュとの関係、容量の目安、DOCPの設定までを解説します。読み終える頃には、5700X3Dに合うメモリを迷わず選べるようになります。
対応メモリの基本
5700X3Dが対応するのはDDR4メモリで、DDR5には対応しません。マザーボードもAM4のDDR4専用板を使う形になります。すでにDDR4メモリを持っているなら流用でき、コストを抑えられるのが利点です。定格の対応速度はDDR4-3200ですが、B550などのオーバークロック対応マザーボードなら、より高速なメモリをDOCPで動かせます。まずはDDR4専用という前提を押さえておきましょう。
スイートスポットはDDR4-3600
Ryzen 5000シリーズのメモリ設定で狙い目になるのが、DDR4-3600 CL16〜18です。この速度なら、メモリの動作周波数と内部の接続クロックを1対1で同期させやすく、遅延を抑えたまま帯域を確保できます。これより速いメモリを狙うと同期が崩れてかえって遅くなる場合があり、費用対効果も下がります。無理に最速を追わず、DDR4-3600を基準に選ぶのが賢い判断です。ここは通常のZen 3と同じ考え方が通用します。
キャッシュが大きいと相性は緩む
5700X3Dならではの特徴が、大容量キャッシュによるメモリ依存の緩和です。96MBのL3キャッシュにデータが収まる場面が多く、メモリまで読みに行く回数が減るため、メモリ速度の差がフレームレートに出にくくなります。DDR4-3200とDDR4-3600の差も、通常のZen 3ほど大きくは開きません。予算の都合で最速メモリを積めなくても、ゲーム性能への影響が小さいのは5700X3Dの安心材料です。キャッシュがメモリの遅さをある程度カバーしてくれます。
デュアルチャネルの効果
メモリは1枚挿しより、2枚挿しのデュアルチャネルで組むほうが帯域を活かせます。キャッシュが大きい5700X3Dでも、シングルチャネルでは帯域不足でフレームレートが落ちる場面があります。16GBを1枚で買うより、8GB×2枚で組むほうが同じ容量でも速い、という点は覚えておきたいところです。将来の増設を見込むなら、空きスロットを残せる2枚組が扱いやすくなります。デュアルチャネルは、キャッシュの有無にかかわらず基本になります。
容量は何GBを積むべきか
容量は、用途に合わせて16GBか32GBを選びます。フルHDやWQHDのゲームが中心なら16GBが最低ライン、余裕を見るなら32GBが安心です。近年のタイトルは16GBを前提にしたものが増え、8GBでは動作が重くなる場面が出てきます。ゲームと並行して配信や複数アプリを動かすなら、32GBにしておくと詰まりを感じにくくなります。まずは16GB×2枚から始め、足りなければ増やすのが無駄のない進め方です。
DOCPの設定
メモリの性能を引き出すには、BIOSでDOCP(IntelのXMPに相当)を有効にします。有効にするだけで、メモリに記録された高速プロファイルが読み込まれ、定格を超えた速度で安定動作します。手動で細かく詰めなくても、DOCPを読み込むだけでDDR4-3600クラスの性能を引き出せます。初めての自作でも操作はメニューから選ぶだけなので、難しく考える必要はありません。設定後は起動を確認し、安定性をチェックしておきましょう。
相性トラブルを避けるコツ
メモリはトラブルの少ないパーツですが、相性が心配なら動作確認済みのセット品を選ぶと安心です。同じ型番を2枚単位で購入し、あとから容量の違うモジュールを混ぜないようにすると、安定性を保ちやすくなります。マザーボードのメモリ対応リスト(QVL)に載った製品を選ぶのも、確実性を高める手です。5700X3Dはキャッシュのおかげで速度の要求が緩いぶん、安定志向のメモリ選びと相性が良いといえます。速度より安定を優先しても、性能面で大きく損をしません。
まとめ
Ryzen 7 5700X3Dのメモリは、DDR4-3600 CL16〜18を2枚のデュアルチャネルで組むのが基本です。ただし96MBの大容量キャッシュのおかげで、メモリ速度への依存は通常のZen 3より緩やかです。容量は16GBを起点に、重い用途なら32GBへ。マザーボード選びとあわせて考えると失敗しないので、関連記事もあわせてご覧ください。
