「次のノートPC用CPUはどれだけ進化するのだろう」。Ryzen AI 9 365のようなZen 5世代のモバイルCPUを使っていると、そんな疑問がわいてくるかもしれません。その答えの手がかりが、ついにインターネット上に姿を現しました。AMDの次世代アーキテクチャ「Zen 6」を搭載するモバイル向けCPU、開発コード名「Medusa Point」の実機とみられるサンプルが、ベンチマークソフトGeekbenchに初めてリークされたのです。本記事では、海外メディアが確認したスペックの詳細と、そこから読み取れるポイントを整理します。読み終える頃には、次世代のノートPC選びに向けて何が分かっていて、何がまだ不確定なのかが把握できるはずです。

Geekbenchに現れた「AMD Plum-MDS1」

今回の発見のきっかけは、Geekbenchのブラウザ版データベースに投稿された、見慣れないシステム名でした。登録されていたシステム名は「AMD Plum-MDS1」で、CPUのエンジニアリングサンプル型番は「AMD Eng Sample: 100-000001713-31_N」です。AMDのエンジニアリングサンプルはこうした形式の型番を持つことが多く、正式発売前の試作チップである可能性が高いと判断されました。Tom’s HardwareやVideoCardz、TechPowerUpといった複数の海外メディアが独立にこのスコアを確認し、いずれも同じ仕様を報告しています。単独ソースの憶測ではなく、複数の独立したメディアが裏付けた情報である点が、今回のリークの信頼度を高めています。

判明した具体的なスペック

このサンプルの最大の特徴は、コア構成とキャッシュ容量です。Geekbenchの結果によれば、CPUは10コア20スレッド構成で、L2キャッシュは10MB、L3キャッシュは32MBを搭載しています。現行のZen 5世代モバイルCPUであるRyzen AI 9 365は10コア20スレッドでL3キャッシュが24MBのため、コア数を維持したままキャッシュ容量が約1.3倍に拡大したことになります。ベースクロックは2.40GHz、ベンチマーク実行時の最大クロックは約2.01GHzにとどまっていました。コア数こそ据え置きですが、キャッシュ容量の大幅な増加が確認できる点が今回のリークの見どころです。

ベンチマークスコアの見方には注意が必要

気になるベンチマークスコアは、シングルコアが1,210ポイント、マルチコアが7,323ポイントでした。この数値だけを見ると、現行モデルと比べて物足りなく感じるかもしれません。しかし、この結果を額面通りに受け取るのは早計です。動作クロックが2GHz前後と、製品版で想定される水準より大幅に低く抑えられています。開発初期のエンジニアリングサンプルは、シリコンの検証や消費電力の測定を優先して低いクロックで動かされることが一般的で、最終製品の性能を正確に反映していません。今回のスコアは「Zen 6の性能が低い」ことを示す根拠にはならず、あくまで検証段階のサンプルとして解釈する必要があります。

コア構成の内訳はまだ確定していない

10コアという数字の内訳についても、現時点では推測の域を出ていません。一部メディアは、通常のZen 6コアを4基、高密度な「Zen 6c」コアを4基、そして省電力志向の「Zen 6 LPコア」を2基組み合わせた、いわゆる4+4+2構成の可能性を指摘しています。ただし、これはあくまで既存の噂と符合するという推測であり、AMDが公式に認めた情報ではありません。コア数とキャッシュ容量は確認できた事実として扱えますが、コアタイプの正確な内訳は未確定のリーク情報として区別しておく必要があります。実際、igor’sLabをはじめとする海外メディアも、この点を明確に「未確認」と注記しています。

Medusa Pointとは何か、発売はいつになるのか

Medusa Pointは、AMDの次世代モバイルプラットフォーム「Plum」に属するとみられるコード名で、Zen 6アーキテクチャを採用するノートPC向けCPUの後継シリーズです。現行のRyzen AI 300シリーズやRyzen AI PRO 400シリーズの後を継ぐ、次世代のAI PC向けチップになる見込みです。一方で、AMDは今回のリークについて公式にコメントしておらず、発売時期も明らかにされていません。開発初期のエンジニアリングサンプルが出回り始めた段階であることを踏まえると、製品としての発売は2027年以降になる可能性が高いとみられます。期待値は高いものの、現時点では気長に続報を待つ段階です。

まとめ

AMDの次世代モバイルCPU「Zen 6(Medusa Point)」が、Geekbenchへのリークを通じて初めて具体的な姿を見せました。10コア20スレッド・L3キャッシュ32MBという仕様は複数の独立したメディアが裏付けている一方、ベンチマークスコアやコア構成の内訳は、開発初期段階の情報として慎重に見る必要があります。AMDの次世代CPUの動向が気になる方は、同じくZen 6世代となる次世代Threadripperの記事や、現行Ryzen 9000シリーズの話題もあわせてチェックしてみてください。