AMDが第6世代サーバーCPU「EPYC 9006」のモデル別仕様と価格を公開しました。Zen 6世代の「Venice」は7月に発表済みですが、今回はSP7向け9モデルとSP8向け22モデルの違いを、価格を含めて比較できるようになりました。価格帯は700~14,904ドル、コア数は8~256と幅広い構成です。

主なEPYC 9006モデルの価格と仕様

AMDが公式仕様に掲載した価格は、1,000個単位で購入する際の1個あたりの参考価格「1kU Pricing」です。国内でのサーバー販売価格は、構成や販売契約によって決まります。10月1日時点で公開された31モデルを整理すると、SP7向けは8,008~14,904ドル、SP8向けは700~11,679ドルです。以下に代表的な6モデルを示します。

モデル ソケット コア/スレッド 標準CPU電力 1kU価格
EPYC 9996 SP7 256/512 600W 14,904ドル
EPYC 9756 SP7 128/256 500W 12,498ドル
EPYC 9556 SP7 64/128 300W 8,008ドル
EPYC 9746 SP8 128/256 400W 11,679ドル
EPYC 9356P SP8 32/64 250W 2,795ドル
EPYC 9016 SP8 8/16 130W 700ドル

AMDの製品仕様では、最上位のEPYC 9996は256コア、512スレッド、L3キャッシュ1,024MBを備えます。一方、EPYC 9016は8コア、16スレッド、L3キャッシュ48MBです。シリーズ全体の価格差は、搭載コア数に加えてメモリ構成やソケット設計の差も反映しています。

SP7とSP8の構成差

SP7向け9モデルは64~256コアをカバーし、全モデルが1ソケットまたは2ソケット構成に対応します。メモリは16チャネル、PCIe 6.0はCPUあたり96レーン。仮想マシンの高密度集約や多数の並列ジョブ、広いメモリ帯域を使うHPC向けの構成を組む際に選ぶプラットフォームです。SP7で最も安いEPYC 9556でも64コアを備え、1kU価格は8,008ドルとなります。

SP8向け22モデルは8~128コアの範囲です。メモリは8チャネル、PCIe 6.0はCPUあたり128レーン。SP7と比べてメモリチャネル数は半分ですが、公開仕様上のPCIeレーン数は多く、I/Oカードやストレージを多く接続する設計にも対応します。SP8には1ソケット専用の「P」モデルもあり、32コアのEPYC 9356Pは2ソケット対応モデルより1kU価格が994ドル低く設定されています。

同じ128コアでもSP7のEPYC 9756は12,498ドル、SP8のEPYC 9746は11,679ドルです。価格差は819ドル。両者の選択ではCPU単体の価格に加え、16チャネルと8チャネルのメモリ帯域、PCIeレーン数、使用するマザーボードの構成が判断材料になります。AMDの公称最大メモリ帯域幅は、DDR5-8000 RDIMM使用時にSP7が1,024GB/s、SP8が512GB/sです。

高周波数モデルと1ソケット専用モデル

製品名の末尾に「F」が付くモデルは高周波数寄りの構成です。SP7のEPYC 9686Fは96コアで最大5GHz、標準CPU電力500W、価格11,434ドル。SP8にも最大5GHzのモデルがあり、コア数を抑えて個々の処理速度を重視する用途までラインアップに含みます。最大ブーストクロックは、条件を満たした単一コアが到達する周波数の上限値です。

「P」が付くSP8モデルは1ソケット専用です。32コアのEPYC 9356Pは2,795ドルで、同じ32コアの2ソケット対応EPYC 9356は3,789ドル。1kU価格の差は994ドルあります。どちらもベース3.6GHz、最大ブースト4.5GHz、L3キャッシュ192MB、標準CPU電力250Wなので、この2モデルでは2ソケット対応の有無が選択のポイントです。

公開価格から見える導入上の判断

サーバーの導入費用にはCPUのほか、メモリ、マザーボード、冷却、ストレージ、ソフトウェアライセンスが加わります。とくにSP7とSP8ではソケットとメモリチャネル数が異なるため、同じコア数のモデルでもシステム全体の構成によって導入費用が変わります。

AMDは製品ページでEPYC 9006の仕様を「変更の可能性あり」としています。10月1日時点の調達検討では、今回公開された1kU価格をモデル間の目安とし、実際の発注価格や納期はサーバーメーカーの見積もりと合わせて判断することになります。まず必要なコア数、メモリ帯域、1ソケットか2ソケットかを決めると、31モデルの候補を絞り込めます。

まとめ

EPYC 9006の公開ラインアップは31モデルで、SP7は64~256コア、SP8は8~128コアです。1kU価格は700~14,904ドルで、最上位のEPYC 9996は256コアと16チャネルメモリに対応します。コア数だけでは見えないSP7とSP8の設計差が、価格表と仕様の公開によって明確になりました。チップレットやメモリ設計の背景は、関連記事のEPYC 9006アーキテクチャ解説で確認できます。