Ryzen 7 5700はZen 3の8コア16スレッドで、DDR4対応のAM4 CPUです。動画編集で関係するのは、プレビューやエフェクトだけでなく、CPUで映像を圧縮する書き出し処理です。一方、AMDの仕様では内蔵GPUがなく、映像出力とGPUを利用するエフェクト・エンコードには外付けグラフィックボードが必要です。8コアという数字と、実際の編集ソフトの処理経路を分けて評価します。

CPU処理が効く場面

動画の書き出しをCPUエンコーダーで行う設定では、ソフトが複数スレッドを使えるほど5700の8コア16スレッドを活用できます。ほかに素材の展開、タイムライン上のエフェクト計算、音声処理などもCPUを使います。エフェクトによって利用できるスレッド数は違います。編集ソフトとコーデック、エフェクトの種類によってCPU使用率は変わります。

AMDの5700仕様は8コア16スレッド、最大4.6GHz、L3 16MB、公称TDP 65Wです。8コアが効く処理でも、処理時間をこの仕様だけから算出することはできません。素材の解像度、ビット深度、圧縮方式、ディスク速度、メモリ容量が変われば同じCPUでも結果が違います。

公開ベンチマークの扱い

5700単体の動画編集ベンチマークはゲームレビューほど多くありません。PC WatchのRyzen 7 5700G実機レビューはHandBrakeのフルHD・4K変換やTMPGEncのH.264・H.265エンコードを測っています。5700Gは5700と同じCezanneで8コア16スレッド、L3 16MBですが、内蔵GPUの有無とベースクロックなどが異なります。5700Gの測定値を、同じCezanne設計を使う5700のCPUエンコード傾向を読む参考にします。

PC WatchのTMPGEnc H.265試験では5700Gが比較対象のRyzen 5 5600Gより10~16%高速でした。これはその版のソフトと試験素材の結果です。ハードウェアエンコーダーを使う場合にはCPUコア数以外の要因も大きくなります。

外付けGPUとプレビュー

5700には内蔵GPUがないため、外付けGPUなしで編集画面を表示することはできません。さらにソフトのGPUアクセラレーションを使う場合、効果は選んだGPUが持つエンコード・デコード機能やGPUメモリ容量にも依存します。CPUだけの予算で構成を決めず、GPUを含むPC全体で評価します。グラボの必要性には画面接続の基本をまとめています。

5700Gなら内蔵GPUで表示可能ですが、外付けGPUを使う編集環境での性能評価は別です。TechSpotの5700レビューはゲームで5700と5700Gの近い性能を報告しています。

ソフトウェアエンコードとGPUエンコード

動画書き出しの「H.264」「H.265」という形式が同じでも、CPUのソフトウェアエンコーダーで処理する設定と、GPU側の専用回路を使う設定があります。前者では5700のCPUコア数やクロックが主な要素になり、後者では搭載GPUの対応形式や専用回路が主役になります。ソフトの書き出し画面で処理方式を切り替えられる場合、8コアCPUを買う目的がどちらにあるかを整理できます。画質と速度は、エンコーダーの種類と設定ごとに変わります。

編集中のタイムライン再生では、素材のコーデックをデコードする段階、エフェクトを計算する段階、表示する段階が続きます。プレビューの速度にはCPUのほか、GPUメモリ、素材形式、メモリ容量、保存先SSDの速度も関係します。手持ちPCのどの部品が先に負荷上限へ達するかを見れば、5700へ交換すべきか、GPUやメモリを更新すべきか判断できます。

5700に内蔵GPUがない点は、5700Gの実測を参考にするときにも重要です。PC WatchのHandBrake試験は5700Gという別CPUのCPUエンコード傾向を示しますが、5700へGPUなしで同じ編集環境を作ることはできません。新規構成なら10月4日の参考価格32,396円に外付けGPUと必要容量のDDR4メモリを加え、PC全体の費用で比較します。

メモリと保存先の構成

動画編集では素材を読み込み、フレームや音声の作業データを保持するため、メモリ容量不足が先に作業を止める場合があります。5700はDDR4の2チャネル対応で、AMDの規定速度は2枚構成でDDR4-3200です。容量と枚数別の規定値はメモリの記事で整理しています。素材と書き出し先にSSDを使うなら、5700がPCIe 3.0対応であることもSSDの記事で確認できます。

既存のAM4環境でCPUを更新し、CPUエンコードや複数作業を増やすなら5700の8コアは有用です。新規に一式を買う場合や編集ソフトのGPU機能を重視する場合は、GPUとメモリの予算まで含め、5700Xや新しいプラットフォームとも比較した方が構成を決めやすくなります。