AMD Ryzen Threadripper 9980X用のメモリを選ぶときは、「DDR5」と書かれた製品を集めるだけでは足りません。AMDが指定する種類はRDIMMで、CPUは4チャネル、公式の最高転送速度はDDR5-6400です。対応するメモリの種類、枚数と容量、速度の優先順位を具体的に整理します。
RDIMMが前提の仕様
AMDの製品仕様はメモリ形式をDDR5、サブタイプをRDIMMと明記し、ECCを標準で有効にしています。RDIMMはRegistered DIMMの略で、一般的なデスクトップ向けDDR5 UDIMMとは異なる部品です。販売店の9980X製品説明もRDIMMのみ対応で、Unbuffered DIMMは搭載できないと記しています。
既存のAM5用DDR5キットを持っていても、9980Xのメモリ購入費は別に見積もります。ECC RDIMMは容量、速度、実装ランクが異なり、マザーボード側の対応表と組み合わせて選ぶ製品です。見た目やピン数だけで流用を判断できません。
4チャネルを使う枚数
9980Xのメモリコントローラーは4チャネルです。ASUS Pro WS TRX50-SAGE WIFIの例は4スロットのECC Registered DIMMを持ち、4チャネル構成を明記しています。4枚を各チャネルに1枚ずつ配置すると、4チャネル全体を利用できます。アプリが大きなデータを連続して読む場合、帯域の確保につながります。
| 合計容量の例 | 1枚の容量 | 枚数 | 主な用途の目安 |
|---|---|---|---|
| 128GB | 32GB | 4 | 大きめの制作データ、複数アプリ |
| 256GB | 64GB | 4 | 大規模シーン、仮想マシンを併用 |
| 512GB | 128GB | 4 | 大容量データセットをメモリに保持 |
購入するボードのQVLにある型番とBIOS版を基準に、4枚組または同じ型番・仕様の4枚を用意します。容量はレンダリングシーン、仮想マシン、解析データのピーク使用量から決めます。容量不足でストレージへの退避が始まる仕事では、転送速度より先に容量を増やした方が待ち時間を減らせます。
DDR5-6400の読み方
AMDの「Up to 6400 MT/s」は9980Xの公式仕様上の最大転送速度です。実際の設定はCPU、メモリモジュール、枚数、マザーボードのBIOSが組み合わさって決まります。ASUSは対応速度とモジュール数が構成によって変わると仕様欄に明記しています。4枚で必要容量を確保した上で、その組み合わせの対応速度を選びます。
Puget Systemsの検証では、Threadripper 9000系に32GBのECC RDIMMを4枚、合計128GB、DDR5-6400で使用しました。前世代Threadripper 7000系は同じ128GBをDDR5-5200で動作させています。Pugetは予備的な調査で多くの仕事に5〜10%のメモリ速度効果が見られると述べていますが、最終的なアプリ別効果はワークロードで異なります。9980Xと7980Xの実測差には、この速度設定の違いも含まれます。
容量と速度の順序
BlenderのCPUレンダリングでシーンがメモリに収まるなら、高速RDIMMと64コアの組み合わせを活用できます。非常に大きなシーンで容量不足になるなら、まず容量を増やします。ローカルAIや複数の仮想マシンでも同じで、データが収まらないと高速メモリの帯域を生かせません。
1枚の大容量RDIMMで後から増設する構成は、導入時に4チャネルを埋める構成より帯域が少なくなります。4枚スロットのTRX50ボードでは増設時に既存のモジュールを交換する可能性もあります。初期費用だけでなく、最終的に必要な容量を想定して4枚の容量を決めるのが合理的です。
購入前の照合
必要な容量を4で割り、次にマザーボードのQVLで対応型番を選び、最後に対応する転送速度とBIOS版を確認します。9980XはDDR5 RDIMM、ECC、4チャネル、最大6400 MT/sというCPU側の枠を持ちます。具体的な採用部品はボードと容量で決まります。TRX50マザーボードの選び方と合わせて構成を確定できます。
